瀬尾まいこさんの本は何冊か読んでいたので、この本も特に理由もなく手に取ったのだが、タイトルを見て、あれ、最近映画化された話かな?と思っていました。
読み上げてから確認したら、松村北斗と上白石萌音でまさに今上映されている映画でした。
先にその情報が頭になくて良かったです。純粋に自分のイメージで読むことができました。
帯で触りを見た限り、もっと感傷的な話かと思ったら、存外ドライな終わり方でした。
パニック障害とPMSという特別な病を扱ってはいるけれど、全ての人が感じている生きずらさとも繋がっている気がする。
ある意味、この二人の登場人物は病さえなければ、社会でうまくやっていける人たちだ。比べて例えると、この二人よりも、私の方がコミュニケーションに自信がないし、社交性もない。
私側の人、社会性がない、コミュ症な生きづらさを書いた作品は最近多いけれど、これは、そうではなかった人が、そういう境遇になってしまった話で、しかも、生きるか死ぬかの病でなくて、見た目でもわからない。
病で失くしたものがたくさんあって、やっと息をするように生きているのだけど、それでも拾った出会いもあって。
ほんの少し前向きになれても、すべてがうまくはいかず、なかなか進んでいかない。良いことばかりは続かない。でも、悪いことばかりでもない。そんな特別じゃない日常の積み重ね。
この二人が、いわゆる「良い人」じゃないところに好感が持てる。そして安易に恋愛感情にならないところ。性別を超えた戦友という感じ。
暗闇の中で光を探すように、ほんの少しの幸せをかき集める。でも、闇は消えない。夜が来なくなるわけじゃない。「それでも生きていく」。それが、生きている愉しみでもあるのだから。