ビファの供給が珍しくしばらく無いので、ゆっくりと違うジャンルのことについて語るチャンスです。
ということで、今日は読んだ本について。
本屋大賞なるものがありますがご存知でしょうか?ちなみに昨年度の本屋大賞は宮島未奈さんの「成瀬は天下を取りにいく」。その前は凪良ゆうさんの「汝、星のごとく」。
これは、書店員さんが売りたい本に投票するものなのですが、今年2025年の本屋大賞は来月決まります。
ノミネート作品は10作品で、全部は書きませんが、例えば恩田陸さんの「Spring」や「成瀬は天下を…」の続編「成瀬は信じた道をいく」などがノミネートされています。このノミネート作品と作家を見ていて、気になったのが野崎まどさんの「小説」でした。
まず、聞いたことのない作家名だったので、これ以外にはどんなものを書いているのだろうかと気になって、調べてみました。
で、図書館にあったのが「タイタン」という本でした。
ペラペラとめくってみたら、どうもSFらしい?作者は違う作品で日本SF大賞を受賞されていました。
ちょうどSFのムーブが来ていると感じていたので、タイムリーだと思い、読んでみました。
物語の舞台は、AI「タイタン」が何不自由ない生活を提供する近未来。もはや人間の仕事はすべてAIがやってくれる。
そんな世界で、心理学を専攻する主人公が頼まれた「仕事」は、タイタンの不調の原因を探るべく、カウンセリングをすることだった。
実体のないAIと話すうちに、タイタンの姿を創造し、やがて共に旅をする主人公。そんな奇想天外なストーリィがすんなりと入ってくるのには、SF的にAIの暴走がいわゆる定石としてあるからだろう。「2001年宇宙の旅」や「ターミネーター」、後半の暴走具合では「AKIRA」を彷彿とさせる。
SFの定石を描きつつ、物語の根本のテーマは「仕事」とは何か?という実に人の生活に根付いたことであって、「働く意味」は、義務教育の社会の教科書のような議論でもある。
なんのために働くのか?という答えにたどりついたときに、タイタンの不調の原因が見えてくるという仕掛け。
難解なSF小説の呈でありながら、どこか少年少女向けのアニメーションのような雰囲気もあるのは、そういうテーマが原因だろうか。
あらゆることをAIがやってくれたとしても、人はどこまで人らしく生きることができるか。人が人である所以は何か。
おもしろく読んだのですが、読むのに時間がかかったのも確か。思えばSF小説なんて、かなり読んでいなかった。
実は「誰よりもつよく抱きしめて」と同じ頃に借りて、そちらはあっという間に読んでしまった。
読み解くのに時間がかかるというのも、SFの醍醐味ではあるんですが。