Sakuyaのイソジオタ活のススメ

サブカルにまみれていたバブル時代を経て現在五十路

私と少女マンガ④

予告通り清水玲子さんです。

彼女のデビュー作をLaLaで読んだときは、すごく絵の上手い人だな、と思いました。ただ少し話はわかりにくいという印象で。その後、ぽつぽつと発表された短編はどちらかというと地味な感じのSFでした。当時は華やかな絵柄とは逆に、淡々としたストーリィ展開が持ち味だった気がします。ただジャックシリーズはヒューマノイドの話で、要するにアンドロイドもの。私の好きな路線ではありました。なので、このあたりの短編を集めたコミックスも何冊か持っています。

デビュー初期から一貫してSFを描いてきた彼女の作品は、いまや壮大なストーリィと緻密で美しい絵で人気ですが、私が特に好きなのは「月の子」です。発表当時、もうLaLaは読んでいなくて、確か友達の家に泊ったときに、コミックスを一気読みしました。人魚と人間の恋の呪いを地球という惑星の未来にシンクロさせた近未来SF。話の中で、チェルノブイリやチャレンジャー号の爆発など大胆に実際の事故ともリンクさせています。

こちらは「新装版」

個人的には、後半、セツに感情移入してしまい、なんとかショナとうまくいかせてあげたいと願いました。彼が想いをとげるシーンは美しくて感涙ものです。というわけで、「月の子」は9巻以降を持っていたりします(笑)

一応このラストはハッピーエンドといえるかと思いますが、そこに至る過程は、かなり残酷です。特にリタのくだりは、そこまでする?なエグさ。

この残酷さ、エグさ、は清水玲子さんのマンガの特徴といえるかと思います。映画化もされた、「秘密」も、美しい絵でこれでもかという残酷さを描いています。これを書くにあたってWikipedia(以下二重カッコ内引用)をのぞいたら『グロテスクな描写や人肉食、同性愛、クローン人間、近親愛、猟奇殺人といった禁忌をテーマにした作品が多い』とありました。確かに夢に見そうなまでの美しい残酷さ。自分の精神状態が悪い時には正直読めなかった。「秘密」は私には珍しく途中で挫折した作品です。

いやあ、今回「月の子」の話をすっかりと忘れていて改めて読んでみたのですが、ほんと精神にきますね。ただ、やっぱり私はセツとショナを中心に読んでしまう(笑)清水さんのラブシーンって本当に美しい。うっとりします。

そんなとこは少女マンガの王道なのに、ストーリィはそれを裏切る残酷さ。それが彼女の持ち味だし、ファンを惹きつけるところでしょう。怖いもの見たさ?残酷さも含めて、むしろリアルだから?私にとっては、清水さんは「好きな作家」というより理解が追いつかない作家です。