Sakuyaのイソジオタ活のススメ

サブカルにまみれていたバブル時代を経て現在五十路

竹宮恵子と萩尾望都について

私自身のオタク気質に影響を与えたものの一つに、マンガというものがあるのですが、男兄弟とかいなかったので最初は普通に少女マンガから入りました。小学校低学年の頃に24年組のマンガを読み始めていました。最初の作品としては竹宮恵子「魔女もホットなお年頃」萩尾望都「11人いる!」を覚えています。特に「11人いる!」は衝撃でしたね。その当時まだ萩尾望都という作家を知らなくて、でもストーリィだけはずっと印象に残ってて。あとから萩尾さんの作品だったと知るんですが。

お二人の作品で特に好きなのは竹宮さんなら「変奏曲」、萩尾さんなら「百億の昼と千億の夜」と書いてから気づいたけど、どちらも実は原作が別の人でしたね。「変奏曲」は、かなりのめり込みました。元々才能の話が好きなんですが、夭折の天才少年(でも最後は結婚して子供もいるのよね・笑)ウォルフが大好きで。命日にお祈りしてたほどでした。おかげでクラッシック音楽にも詳しくなりました。(※これを書くにあたって情報を確認していて初めて増山法恵さんがご逝去されていたことを知りました。変奏曲の子供世代の話はついに未完となったわけですね。)「風と木の詩」は大河ドラマのようでしたし、「集まる日,」シリーズは、NHKの少年少女向けSFドラマのようで好きでした。

萩尾さんの作品は「ポーの一族」や「トーマの心臓」はもちろん好きなんですが、彼女のSFがとにかく大好きなんです。「スターレッド」や「銀の三角」「A-A'」「X+Y」。時間が交錯する壮大な宇宙空間を舞台に、しっかりとキャラクターの関係が描かれていて、複雑なエピソードの絡みが徐々に紐解かれていって、ラストにキレイにまとまるんだけど、少しせつない。そんなお話がほんとうに好きでした。

そうやって、影響を受けたお二人について、昨年のちょうど今頃、萩尾さんが出した「一度きりの大泉の話」という本を読み、大変心が苦しくなりました。

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お二人のファンであったので、若かりし頃に彼女たちが一緒に住んでいたことは知っていました。そしてそれ以来交流がないことから、「何か」があったことも予想は付いていました。その「何か」について、萩尾さんが「一度きり」として告白したのがこの本です。

人間関係って、ほんのわずかにボタンが掛け違ってしまっても、二度と元に戻らなくなってしまうんだな、と自分の経験にも照らし合わせて考えてつらい気持ちになりました。

天才である萩尾さんと、秀才である竹宮さんという構図が「アマデウス」のように例えられたりしていましたが、私は、竹宮さんもある意味天才だと思います。両雄並び立たず、ということでしょうか。お二人ともに深い思い入れのある私はどっち寄りというわけでなく、ただ二人の間のあまりにも深い断絶が悲しかったです。とりわけ萩尾さんの強い拒絶は、創作者としてのプライドをえぐられたことへの呪詛のようで、それなのにそのことがまた、後の彼女のすばらしい作品たちを創っているということもはっきりわかってしまうのがつらかったです。

ただ、この本の中で萩尾さんは、24年組や少女漫画界の革命と自分は関係ないというようなことを言っていましたが、それは違うと思いました。ご自身がそのつもりはなくても、それは既に史実であり、現象だったわけですから。